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浸硫窒化処理しためっき層の摩擦・摩耗特性

窒化系の表面熱処理は処理温度がフェライト界域の450〜570の範囲にあるためひずみが少なく、しかも表面付近に生成される窒化物層はセラミックとしての性質をもつことから硬質であるとともに相手金属との間に凝着や焼きつきが起りにくく、したがって優れた耐磨耗性を有することが知られています。このような観点から主としてFe-Cr合金めっきを施したAl合金を対象に浸硫窒化処理しためっき層の摩擦・摩耗特性を調べてみました。


 

Fe-8%Cr合金めっきを施したのち、浸硫窒化性雰囲気中、 500・3h処理したものについて前項と同じ条件(p=0.196MPa)で摩擦・摩耗特性を検討してみました。図7および図8はその結果を示したものです。

 
試験片: 回転、A5052、Fe-8%Cr合金めっき→500・3hガス浸硫窒化
固定、S45C HQT,ソルバイト組織
摩擦条件: p.2kgf/cm2(0.196MPa)、供試油、7.5W30SE,試験前1回塗布


図7:回転試験片の摩擦面に供試油を1回塗布した状況の下での耐久性と摩擦速度の関係

 

 

まず、摩擦係数の挙動については図7に示すように継続して距離50,000mの摩擦を行った時点で0.20以下の安定した状態は速度2.50m/sが限界で、それ以上の高速域では距離50,000mに達する以前に瞬間的ではあるが摩擦係数が0.20を越す現象が観察されるようになります。しかし、この状態を含めて摩擦係数の平均値は低く、速度2.50m/s以下では0.025前後、また3.00/s以上の高速域でも約0.05であり、明らかに潤滑化の摩擦において摩擦係数を下げることに対し、浸硫窒化処理は効果的であることが認められます。

 
試験片: 回転、A5052、Fe-8%Cr合金めっき→500・3hガス浸硫窒化
固定、S45C (HQT,ソルバイト組織)
摩擦条件: p,2kgf/cm2(0.196MPa)、l,50,000m(但しk:<0.20)
供試油、7.5W30SE,試験前1回塗布


図8:Fe・8%Cr合金めっき後、ガス浸硫窒化処理を施したA5052回転試験片の摩擦面に潤滑油を試験開始前、1回塗布した状態のしたで得られるすべり摩耗特性曲線
 

また、摩耗特性については図8に示すように摩擦係数が安定な状態を保つ速度2.50m/sまでの領域では比摩耗量が4〜7x10-10mm3/kgf・mmに安定しているが、より高速側では激しい損耗がみられるようになります。したがって摩擦係数の挙動を観察することによっておおよその耐磨耗性を把握することができます。

 

7.2 接触圧力5kgh/cm2(0.49MPa)の場合


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