このままでいいのか!?日本、UAEに敗れる
キリンカップサッカー2005
日時:2005年5月27日
場所:国立競技場
日本 0−1 UAE
得点者
アロ(69分)

Kimutake's eye
 ロスタイムの失点からペルーに負けた時は、バーレーン戦に向けてのいい薬になると思っていた。だが、ホームでの試合で、2軍のペルーに続きアマチュアのUAEにも連敗、「勝点0」というのは許されるものではない。今まで「運」だけでなんとか勝ってきたようなものだったが、そのメッキがついに剥がれ落ちたという感じだ。自分はどちらかと言えばジーコ肯定派であったが、このところのジーコの選手選考には大いに疑問を感じていたし、もう我慢の限界だ。
 以前のジーコは周りからどんなに批判されようとも露骨なまでにあくまでも海外組にこだわり続けた。自分はそれでいいと思っていた。ショボい選手はショボいサッカーしかできない。局面でのボールコントロール、1対1での突破力、クロスの正確性、ゴールを決める決定力、サッカーにおいて重要かつ不可欠なそれらの要素は戦術でカバーできるものではなく(もともとジーコのサッカーには戦術は存在しないが)、個の力に頼る部分が大きい。日本の選手の中で最も能力が高いと思われる海外組が優先的に使われるのは当然のことと思っていた(誤解しないでほしいのだが、あくまでも重要なのは「能力が高い」ことであって、能力が高ければ海外組である必要性はない)。代表監督の仕事の90%はいい選手を選ぶことにある。そういう意味において以前のジーコには及第点を付けていたし期待もしていた。
 だが、アジアカップで間違って優勝してしまったことが、誤った方向への分岐点だったかもしれない。アジアカップでの日本はボール支配率やシュート数を見ても分かるとおり、内容的に見れば、オマーンやヨルダン、バーレーンに完全に負けていた。だが、日本はほとんど運だけで奇跡的に優勝してしまった。それ以降、ジーコは自分の貫き通してきた信念を捨て、アジアカップの優勝メンバーを軸にするという間違った方向に進んでいった。FWの軸に鈴木を据え、機能しない両サイドの加地と三都主を使い続け、ボランチの軸に稲本ではなく福西をチョイスするなど、ジーコの采配には明らかな間違いが目立つようになった。特に、他のポジションは流動的なのに、日本の足を引っ張っている3人であり一番変えなければならない鈴木と加地と三都主だけは逆に軸として固定されているというのは、数ある選択肢の中でも絶対にやってはいけない最悪の選択だ。そしてさらに問題なのは、それらのバックアップとなる能力のある若手選手を育て、代表に融合させることを今までまったくしてこなかったことだ。特に両サイドは才能豊かな人材が豊富にいるにもかかわらず、緊急時のバックアップすら準備ができていない。
 そういう状況の中で今からできる事と言えば、能力の高い海外組をチームの軸に戻すしかない。結局何の進歩もなく振り出しに戻るわけで、今まで積み重ねてきた3年間はいったい何だったんだということになる。だが、それならそれでかまわない。もともとジーコは能力の高い海外組を集めてただ「サッカーをやってこい」とピッチに送り出すことだけが彼の監督としての唯一の能力だった。代表監督の仕事の90%はいい選手を選ぶこと。残りの10%についてはジーコには最初から期待していない。「勝っているチームはいじらない」という鉄則をアジアカップから貫いてきたジーコ。それもひとつのセオリー。だが、負け始めた今こそ、選手を変えるべきタイミングである。他に何もしなくてもいい。ジーコはいい選手を選んでただピッチに送り出してくれさえすればそれでいい。それ以上ジーコに何を望めというんだ。


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