HOME>会社概要>21世紀に求められる民間救急サービスのあり方
以下は、全国民間救急サービス事業者連合会(全民救)全国大会において、「21世紀に求められる民間救急サービスのあり方」というテーマで講演させていただいた際の資料です。
はじめに
救急業務は、年々増加の一途をたどり、すべての国民にとって、ますますかけがえのないものになっている。しかしながら一方で、救急車を要請する一部の人たちの中に、自己中心的とも言える利用の仕方があるのも事実である。そうした実情を背景に、現在、救急需要への適切な対応方法や救急隊員業務負担軽減等の解決策の確立が急がれている。
全国民間救急サービス事業者連合会(以下、全民救という。)は、消防救急等との連携を図り、日本の救急医療体制に「民間」としてできうる限りのことにのぞむ所存である。
次に、われわれの仲間の意見や、関連諸機関の見解を掲載させていただくとともに、全民救の進むべき方向について私見を述べたい。
民間救急サービスについて
救命を主眼とし、傷病者の観察及び必要な応急処置を行い、速やかに適応医療機関に搬送するのが消防救急の活動の原則である。
これに対し、「民間患者等搬送事業」は、その指導基準(平成元年10月4日 消防救第116号 各都道府県消防主管部長あて消防庁救急救助課長通知)により、緊急性の少ない患者等の入退院、通院、転院あるいは社会福祉施設への送迎等の移動手段を提供している。
民間患者等搬送事業の概要(平成8年4月15日発行、消防大学校・救急実務より)
近年、国民意識の変化や人口の高齢化への進展等を背景に、寝たきり老人、身体障害者、病気やけが等で歩行困難な患者を対象に、医療機関への入退院、通院、転院あるいは社会福祉施設への送迎等を、ベッドや車椅子の固定装置を備えた車両で行う患者等搬送事業が次第に増えている。
これらの事業は、最初、タクシー会社が「寝台タクシー」として行っていたが、その後、葬儀会社等が医療機関と連携し入院や退院、転院等に際し、ベッドの設備を有した車両で利用者に寝たままでの搬送サービスを行うようになった。さらに、身体障害者の利用や社会福祉施設への送迎などの利用も多くなるなど需要の広がりに伴って、この種の搬送事業は、タクシー会社や葬儀会社のほかにも搬送事業を行うところが増加してきた。
こうした事業は、運輸省の一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動車運送事業の免許(現在は許可)等を受けて行われるものであり、また、運輸省の通達で民間患者輸送に携わる乗務員等には、日本赤十字社等の公的機関で行う講習を受けさせるよう指導している。
しかし、患者等搬送事業は、緊急性のない患者等を搬送の対象としているものの、搬送途中の患者等の容態悪化は常に危惧されるところである。また、抵抗力の弱い病後回復者や高齢者を搬送すること及び病院等への出入りが多いことから、感染防止を図る必要がある。このようなことから、患者等を搬送中、容態が悪化した場合における消防機関との通報連絡体制の確保、緊急時の応急手当の実施、さらには感染防止対策など利用者の安全確保や利便性を高める面から一定の基準に沿った業務管理を行わせることが必要となった。
こうした背景から、消防機関との連携体制、搬送業務に従事する者の資格、患者等搬送用自動車の構造等について一定の基準を定め、患者等搬送事業の質的向上を図るため、消防庁から、消防機関が患者等搬送事業を指導する際の基準として、「患者等搬送事業指導基準等の作成について」(平成元年10月4日付 消防救第116号)により、「患者等搬送事業指導基準」及び指導基準に適合する事業者を広く住民に公表するための事務処理基準として「患者等搬送事業認定基準」が示されこれにより消防機関による患者等搬送事業に対する指導が全国的に開始された。
このような経緯により、患者等搬送事業者は消防機関の認定、指導を受けることを条件に運行することとなり今日に至っている。
通達から16年、東京消防庁は平成16年10月1日から、緊急性の低い患者の搬送業務を民間業者に委任する民間救急制度の試行運用を始め、入院中の病院から別の病院へ患者を移す「転院搬送」などの利用を想定し、希望者が、同庁に新設された「民間救急コールセンター」に電話で依頼をすると、最寄りの民間救急車が配車される仕組みであり、平成17年4月から本格運用を開始した。
この民間救急制度導入には、東京消防庁の「財政難」と「救急活動への支障」が主な理由とされている。
東京都は公認会計士らの都専門委員会が東京消防庁の事業コストを試算した報告書を公表した。それによると、救急出動1回あたりのコストは約45,000円であった。報告書によると、都専門委員はバランスシートを使って2002年のコストの試算をした。救急業務の支出は人件費など285億5200万円。これを年間救急出動約63万件で割り、1回あたりのコストを算出した。救急出動はここ数年、約3万件ずつ増えていることなどから、15年には116万件に達する可能性があると指摘。すべての需要に無償で対応する現行方式は限界に達しているとし、抜本的見直しを求めたのだ。
また、同庁内に設置された「民間救急コールセンター」によると、
本年10月1日より東京都において「民間救急体制」の試行が開始された。年々増加を続けている救急出動もついに483万件を越え、ここ2〜3年の間には500万件を突破すると思われる,さらに、緊急性の低い救急出動やタクシー替わりに利用する状況がこのまま増え続ければ、民間委託導入に続いて,救急業務そのものの有料化になるかもしれない。
救急出場件数はここ数年、毎年約3万件のペースで増えつづけており、近い将来、緊急性の高い場合でも救急車を利用できなくなる恐れがある。
このため、全国ではじめての取り組みとして、安定期の患者さんを入院中の病院から別の病院へ移送する転院搬送や、入退院、通院するときなどの際に、民間の患者等搬送事業者(民間救急)を案内する民間救急コールセンターの試験的な運用を、平成16年10月1日から開始した。
民間の患者等搬送事業者では、患者さんの転院、入退院、一時帰宅のとき、または温泉治療やリハビリに行きたいときなど、患者さんのご都合に合わせて移送を行っている。車椅子の方はもちろん、寝台(ストレッチャー)付きの車両もあるので、寝たきりの方の利用もできる。
との内容で記されている。
米国の民間救急
ここで米国シアトルの公的救急機関「MEDIC-ONE」と民間救急機関「AMR」の活動について、ホームページ「HIGEさんのスポーツ救命救急」を参考までに紹介しておく。
「MEDIC-ONE」は、緊急性の高い疾患や外傷を負った市民のための救急車であり、緊急性の低い患者は原則的に対象とはしていない。市内には7隊の「MEDIC-ONE」がある。この公的救急機関を有効かつ適性に活用するために、911通報により出動はするが、緊急度が低いと判断された場合は、以後を消防隊に任せ(MEDIC-ONEと消防隊は一緒に行動している)速やかに次の出動に備える。
残った消防隊は、緊急性が低い旨を患者に説明し、民間救急機関による医療機関への搬送を希望するか否かを患者に聞き、希望した場合は、消防隊から民間救急隊を要請し民間救急機関に患者を引き継いだ後現場を引きあげる。
民間救急機関は全米にあり、シアトルでは「American Medical Response(アメリカン・メディカル・レスポンス)」(通称AMR)が民間救急業務を実施している。
料金は通常400$(約40,000円)とかなり高額ではあるが保険加入者は保険適用とる。
「MEDIC-ONE」には「病院間転院搬送」という業務はない。そういった業務は全て「AMR」がやっている。民間救急機関といっても、乗務している救急隊員は専門の訓練を受け、装備も公的機関の救急隊と変わらない。有料ですからサービスも良く、患者さんの細かい要望にもきちんと応え、市民からの信頼も厚い。「MEDIC-ONE」も「AMR」も、市民がその利用方法を十分認識・理解しているのだ。
公的救急機関「MEDIC-ONE」は、民間救急機関「AMR」のサポートを受けてこそ活動が可能となっている。このように米国では公民一体となって市民の生命を守っているのだ。
という内容であった。
全国民間救急サービス事業者連合会とは
財団法人全国福祉輸送サービス協会という団体がある。平成16年、同協会内に患者輸送部会が設けられ、福祉タクシー事業者等が参加した。当初部会長として就任した私は、「日本の民間救急サービスのあり方」についてその持論を述べた。反応は虚しく、理解し難いのか退席者もでてしまう始末だった。
理解し難いのも当然だったのかもしれない。日本では「民間救急」という職種は存在しない。前述の指導及び基準により「患者等搬送事業所、患者等搬送用自動車、パンフレット、その他これらに類するものに、緊急の業務を行っていると市民に誤解を与えるような表示はしないこと」とあり、民間救急という名称は、市民に対し「救急業務を行う民間業者」と誤解され、混乱を生じる恐れがある」として、指導・規制されてきたからだ。
しかし、ここにきて民間救急制度の導入という東京都の取り組みにより、消防庁自ら一転して「民間救急」という言葉を公のものとしたのだ。
一方、日本の民間救急のありかたを真に考えている事業者も存在した。全国民間救急サービス事業者連合会は、その賛同事業者が発起人となり平成17年4月1日に発足した。
全民救の第一歩は「民間救急サービス」を明確に定義付けることだった。
定義付けに当たり、同じ「一般乗用旅客自動車運送事業(患者等輸送限定)免許(現在は許可)でありながら、「福祉系」と「医療系」に二分していたのだ。
寝台タクシー・福祉タクシーと呼ばれ、乗務員1名をもって車椅子あるいは寝台により、患者等搬送事業認定基準(患者等搬送用自動車に備える資器材)による、バッグマスク、ポケットマスク、三角巾、ガーゼ、噴霧消毒器、各消毒薬等を備え、タクシーメーター運賃で運行している患者等搬送事業と、乗務員2名以上をもって寝台専用車両を用い、同認定基準の資器材の他、AED、酸素供給装置・吸引装置・点滴管理資器材・各種モニター等々を搭載し、国土交通省認可の寝台運賃で運行している患者等搬送事業に分かれていた。
この二分している「医療系」・「福祉系」の患者等搬送事業を共に民間救急と位置づけて運行している状況こそが、利用者、医療機関、福祉施設、事業者等の混乱の原因となっていたのだ。
全民救では、これらの混乱を回避し21世紀の日本に求められる「民間救急サービス」のあり方を追求、実践していくため、「医療系STS(スペシャル・トランスポート・サービス)の運行をもって民間救急サービス MASとする」と定義付けた。
全民救の理念、目的、運営方針、活動内容
理念
全民救は、現行法を遵守し、消防・医療機関・警察・保健所及び警備・損保・船舶・航空業者等と連携を保ち、多様な移送ニーズに、安全・安心・快適・清潔なサービスを提供するため、全民救独自の乗務員教育等により、その知識・技術の向上を図り、医療系STS(スペシャル・トランスポート・サービス)をもって社会に貢献し、患者搬送業界に範を示すと共に全民救会員各社の繁栄を望むものである。
目的
この会は「21世紀の民間救急サービスのあり方」を真に追求し、お客様の更なる利便を図るため、全国をネットワーク化し、加盟各社の情報交換、研究会(研修・勉強会等)によりその知識と技術を習得し、サービス内容の充実を図り民間救急サービスのエキスパートをめざすものである。
運営方針
- お客様に最高のサービスを提供する。
- お客様に安心と信頼を提供するため、日々研鑚し人格・知識・技術の向上に努める。
- お客様のニーズに的確に対応するための車両、基準資器材及び適応人材を提供する。
- お客様の「いつでも、どこでも、どこへでも」のニーズに応えるため、全民救のネットワークを構築する。
- お客様の更なる利便を図るため、ホームページ広報によるネット受付の充実を図る。
- 社会貢献と共に、事業所の繁栄そして社員の幸せを追求する。
活動内容
- 民間救急サービス事業経営者としての理念を構築するための支援
- サービスの質を向上させるためのさまざまな研修会の開催
- 経営安定化のための経営相談および指導
- 救急移送サービスに係わる情報の共有化
- 安全、快適な移送サービスを遂行するための関係省庁等への要望
- 車両の加盟事業者マークおよび資器材の統一
- 乗務員の資格制度導入(運行技術の向上・質の均一化を図る)
- 適正運賃の収受・周知
- 医療機関等に対する民間救急サービス事業の周知
- 全民救コールセンターの設置
- インターネットによる加盟事業者の紹介
- その他、目的達成に必要な事業
全民救の提案
米国の公的救急機関「MEDIC-ONE」と民間救急機関「AMR」のようなシステムを日本において実現することは当面不可能であろう。しかし、「公」「民」共に21世紀の救急医療を真に追求する姿勢をもって諸問題に取り組めば、それに近づくことは十分可能であろう。
消防庁の指導や基準を一概に否定はしないが、民間独自の取り組みに対する理解をも持つべきであり、全民救は縦の関係ではなく横の繋がりを求めたいのだ。
乗務員の教育
全民救では既にMAST(医療系民間救急サービス技術員)養成講習を全国で開催している。
受講対象者は民間救急車に乗務する者及びその管理者であり、所持資格別にカリキュラムが設定されている。
所持資格とは、救急救命士・看護師・ホームヘルパー等のことである。
講習の主な内容としては、
- サービス提供に伴い必要とされる各機関の概要と連携について、
- 疾患・症状別の観察と対応、
- 医療処置継続中の傷病者搬送要領、
- 医学・看護用語及び現場で用いられる略語、
- 搭載資器材の取り扱いとその介助、
- 消防救急への乗せ替え及び指示要請要領、
- 精神保健福祉法24条等、
- 安全走行に関する知識、
- 現場を想定した各種シミュレーション、
- 傷病者及び付添者への対応、
- CPR着手要領、
- AEDの取り扱いについて
等々が現在行われている。
しかし、MAST養成講習は全民救独自の教育であり、消防長の患者等搬送乗務員適任証のように公の資格ではない。
MAST養成講習は、民間救急サービスの現場を熟知した経験豊富な講師及び関連機関の講師等により実施されている。
全民救では、このMASTを乗務員の公な資格として定着させたく願っている。
民間救命救急士
救急救命士を乗務員として採用している会員事業者が目立つようになった。搬送手技及び医療関連知識を徹底教育された人材であり、その需要は今後も増え続けるであろう。しかし、「新卒の救命士は扱いにくい」との指摘もある。新卒の救命士は、「救命を主眼とした活動」という教育上、民間救急搬送に物足りなさを感じるようである。
民間では法律上、消防救急救命士のような救命処置はできない。一般市民と同じくBLS(一次救命処置)の世界なのだ。酸素の投与やモニター着装による監視もできない。民間では、救急救命士という資格は宝の持ち腐れとなっているのが現状なのだ。
消防救命士と同等の処置範囲とは言わないが、せめて消防救急の標準過程程度は実施できるような法整備を願うものである。
平成17年2月に「東京消防庁民間患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱」の一部改正があった。それによると、
- 乗務員は、患者等搬送用自動車1台につき2人以上とすること。
- 車椅子を使用する場合又は寝台を必要とする場合のうち、次の一つに該当する場合は、乗務員を1人とすることができる。
- 乗務員以外に医師、看護師、又は救急救命士が同乗する場合
- 退院の場合
- 医師の指示によるあらかじめ日を特定した入院又は通院の場合
- 社会化福祉施設、保養施設等への送迎の場合
とあり、救急救命士が医師、看護師と同等に扱われるようになっているが、現行法との整合性から、理解に苦しむ。
救急救命士養成校の学生で、消防救急に入隊せず民間救急への就職を希望する傾向が現れている。そこで養成校へのお願いとして、進路の選択肢の一つとして民間救急をとらえ、民間救急サービスに関する特別枠の講義を実施し、その理解を深めて頂きたい。
救急走行
消防庁の指導により、「緊急性の少ない患者等の入退院、通院、転院あるいは社会福祉施設への送迎等」とされている民間救急であるが、搬送の対象は「患者」である。
私も十数年民間救急乗務員として携わっているが、なまやさしい世界ではない。一刻を争う状況も幾度も経験してきた。消防救急への乗せ替えの余裕も無くパトカーに先導していただいたこともある。急激な意識レベルのダウン、直後のCPA、CPRを実施し消防救急への乗せ替えを待ったこともあった。
この様な現場体験を振り返ると、直近医療機関への緊急走行ができたら・・と痛切に思う。
民間救急には、安全走行を担保すべき器材(サイレンや赤色警告灯等)の搭載は一切許可されていない。車内で起こっている状況など周囲の車両には全く解らないのだ。
搬送途上において、生命の危機が迫っている場面での緊急走行くらいは許されるものと考える。関係機関は異なるが「日本の民間救急のあり方」を前向きに検討するならば、ホットラインを含むこれらの問題を避けては進まないであろう。
車両・資器材の統一
消防救急の教育・車両・資機材等は法によって全国統一されている。
全国に波及するであろう病院間等搬送の民間救急委託に、事業者も受動的依存ではなく積極介入の時期が来ている。
人工呼吸器等の医療処置継続中の利用者が、医師の同乗による転院搬送を依頼したところ、迎えに来た民間救急車には電源も酸素供給装置も吸引設備等もない福祉タクシーだった。結局別の民間救急事業者が対応した。このような現場の混乱を避けるには、民間救急車の搭載資器材を統一する必要がある。
全民救では、タイプ・メディカル、タイプ・ナーシング、タイプ・ケアの3タイプの車両により、利用者の状況にあった車両でのサービス提供を行っている。
- T/Medical(タイプ・メディカル)
- 搬送元の医師や看護師の同乗により、医療処置を行いながらの搬送に対応。
- T/Nursing(タイプ・ナーシング)
- 看護師等が同乗し、酸素や点滴等の管理を行いながらの搬送に対応。
- T/care(タイプ・ケア)
- ホームヘルパー等が同乗し、必要な介護や見守りを行いながらの搬送に対応している。
全民救では、標準装備として、加湿流量計付酸素供給装置・電動式吸引器・100ボルト電源・殺菌灯・換気扇・手洗い装置・照明器具等が搭載され、オプションには、心電図モニター・パルスオキシメータ・自動血圧計・デマンドバルブ蘇生器・レスピレータ・輸液ポンプ・携帯用酸素・スクープストレッチャー・陰圧ギプス・架台・AED等がある。
ここで車両に関する意見も述べておきたい。全民救では教育・資器材の統一には着手したが、車両に関してはメーカーの協力を必要とするため、それに至っていない。
民間救急は救命を主眼とした活動ではなく、緊急を必要としない傷病者を安全・安心・快適・清潔にベッドからベッドまで搬送しなければならない。消防救急とは基本的に異なる搬送なのだ。
しかし、現状では消防救急と全く同じ車両を使用している。今後の課題として、民間の搬送活動に適した車両を仮装メーカー等に協力を求め、利用者が納得できるような「民間救急車」を作り上げて行く課題が残されている。メーカー及び関係機関等の協力・理解・助言を切にお願いしたい。
保険制度
日本では無料が当たり前の救急車であるが、海外では大半の都市が有料化されている。料金体系は、1回の出動でいくらとか、距離や時間によって決めている。
前述したAMR(民間救急会社)の場合、料金は通常400$(約40,000円)と高額ではあるが保険加入者は保険適用となっている。日本では民間救急委託や公的救急の有料化の議論は聞こえてくるが、保険制度の導入や新たな損保商品等の問題も早々に着手してほしいものだ。
全民救コールセンター
当連合会では、「全民救コールセンター」を設置し、平成17年4月1日よりその運用を開始した。いわゆる東京消防庁の民間救急コールセンターの全国版である。
全国の利用者からコールセンターに依頼や問い合わせの電話かメールが入り、センターでは管轄する全国の基幹支局に、利用者の状態に合った車両・資器材・乗務員を提供できる直近の事業者を選定依頼し配車している。
終わりに
近い将来民間救急サービスは確実に定着するであろう。しかし、民間救急の定義すら曖昧な現状からは、その方向性は見えてこない。消防庁の思惑はどうであれ、目先の民間救急ではなく、諸外国をも視野に入れた「日本の民間救急」のあり方を真に追及する時期に来ている。
養成校等を卒業し消防救急に就職できない救急救命士や、消防救急を退職した救急救命士等は今後も増え続ける。何れにせよ民間救急の方向付けの鍵を握るのは救急救命士の存在であろう。であれば民間救急救命士の処置拡大等を十分に検討し、安易な道を選ばず、確固とした「日本の民間救急」を求めるべきであろう。そのためにも「公」「民」の協力体制は必須であり、傘下的存在では発展性が削がれてしまう。
全民救は日本の民間救急に危惧感は抱いているが、独自路線を走る団体ではない。
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